インテリジェンス基礎理論(第2回)
前回は、インテリジェンスとは「判断や行動に役立つ知識」であると説明した。しかし、インテリジェンスという言葉は、知識だけを意味するものではない。
CIAの元情報分析官シャーマン・ケントは、インテリジェンスとは「知識であり、活動であり、組織である」と定義している。つまり、インテリジェンスには、意思決定に役立つ知識という意味のほかに、それを生み出す情報活動、そして情報活動を担う情報組織という意味がある。
今回は、このうち情報活動について解説する。
第1回 企業インテリジェンス(総論)
「インテリジェンス」という語からまず連想されるのは、スパイによる諜報の世界だろう。その原型は、日本の歴史のなかにも見いだせる。戦国の世に「乱波・透波(らっぱ・すっぱ)」と称された忍びの者たちは、行商人や町人を装って敵方の内情を探った。兵力で大きく劣ると目されながら、織田信長が奇襲で今川義元を討った桶狭間の合戦(1560年)でも、信長方の忍びが義元の動きを事前に嗅ぎ取っていたことが勝敗を分けたと語り継がれている。時代が下った二度の世界大戦においても、電波の傍受をはじめとする諜報が戦局の裏側で機能した。これらはいずれも、表に出ることのない「ウラ」の営みにほかならない。
経済安全保障の基礎知識(第1回)
中国の台頭により米国による一国支配が退潮しつつある中、イスラム原理主義勢力によるテロリズムの発生や新型コロナウィルスCOVID-19のパンデミックなどを契機として、これまでの軍事偏重の安全保障論が多様化して新しい安全保障という概念が注目されるようになった。そのうちの一つが「経済安全保障」である。




